レシピとお菓子のお話  |  いろいろなお話


 

お菓子にまつわるエピソードとレシピを載せて紹介していきます。


*ガレット・デ・ロワ 

*パン・ド・ジェンヌ

 

ガレット・デ・ロワ

▲ このページのトップへ

  1月のお菓子と言えば、ガレット・デ・ロワ(Galette des Rois)。1月6日の公現祭(Epiphanie エピファニー)の日に食べるお菓子です。

  公現祭とはキリストが誕生して2週間後、神様のお告げによりキリストが誕生したことを知らされた 3人の東方の賢者が、キリストのところに礼拝に来た日のこと。

 「ガレット・デ・ロワ」とは王様のお菓子という意味。ガレットを皆で切り分けて食べたとき、幸運にもお菓子の中に隠されたフェーヴといわれる陶器でできた人形を当てた人が王様になるという遊び心のあるお菓子です。 

 ガレット・デ・ロワといえば、パイ生地の間にクレーム・ダマンド(アーモンドクリーム)をはさんで焼いたものがよく知られていますが、クレーム・ダマンドの代わりにクレーム・フランジパンヌ(アーモンドクリームにカスタードクリームをあわせたもの)をはさんだものや、はたまたこれとは全く違い、ただブリオッシュ生地をクーロンヌ(王冠のような輪の形)に焼いたものもあります。  

 いずれにしても、中にフェーヴが入っており、紙でできた金色の王冠を一緒に添えられていることが特徴です。

  最近日本でも知られるようになりましたが、フェーヴは実にいろいろな形のものがあり、コレクターもいるほどだとか。人の形、建物の形などなど様々(写真は建物とお皿の形のもの)。ちょっとした製菓材屋さんに行けば手に入るので、コレクターでなくともちょっと集めてみるのも楽しいかもしれません。
  もともとはガレットの中には本当のフェーヴ(そら豆)を入れていたそうですが、いつからかこのように陶器の人形を入れるようになったようです。

 また、お話のついでにガレット・デ・ロワとピティヴィエというお菓子の違いについて。この2者はともにパイ生地の間にアーモンドのクリームを挟んで焼いたお菓子であるというつくりの点でそれほど違いがなく、区別がつき難いことで知られています。でも実はちゃんと違いがあるようです。
  ピティヴィエ(Pithiviers)とは同名の町の銘菓で、ガレット・デ・ロワよりも高さがあり、周りに波がついており、中のクリームはフランジパンヌを入れるのだそう。また、ピティヴィエでは、公現祭の日には、ガレット・デ・ロワに代わってこのピティヴィエをいただくのだそう。つまり、ある意味でピティヴィエはガレット・デ・ロワの一種と言えそうです。




↑ピエール・エルメのガレット・デ・ロワ(ミニバージョン)

パン・ド・ジェンヌ

▲ このページのトップへ


↑パン・ド・ジェンヌ


↑マドレーヌ


↑パヴェ・ド・ヴニース

  今日は「パン・ド・ジェンヌ」というお菓子のお話をします。名前に「パン」がつきますが、いわゆるパンではありません。れっきとしたお菓子(焼き菓子)なのです。
 「パン・ド・ジェンヌ」といってもあまりこの名前を聞いたことがない人も多いかもしれませんが、実は日本ではある意味ポピュラーなお菓子なのです。
 「パン・ド・ジェンヌ」はフランスの焼き菓子です。ジェンヌとはイタリアのジェノバを指し、「ジェノバのお菓子」という意味で、ここでいうパンとは、「パン状のお菓子」という意味です。このお菓子は、1800年ジェノバの包囲を記念して作られたお菓子だということです。このときジェノバで食料としたのがお米とアーモンドだったので、「パン・ド・ジェンヌ」には必ずアーモンドが使用されるとのこと。
 材料はパードダマンド、コーンスターチ、卵、バターを用い、大きいタルト型のような、ふちが波になった型で焼きます。今回私が作ったものは焼いたとき上になっていた面をそのまま上にして粉糖をふるいましたが(写真上)、本来は型にスライスアーモンドをしいて焼き、仕上げにはアーモンドが見えるよう逆さにして、グラスロワイヤルをして、ウィークエンドのようにテカテカに仕上げるのが普通です。アーモンド風味の効いた、しっとりとふわふわの間のような、微妙な食感のお菓子です。
 さて、冒頭にこのお菓子は日本ではポピュラーと書きましたが、ここまで読んでもまだピンとはこないでしょうか。そこで、パン・ド・ジェンヌの形に注目。大きい菊方だとピンとこないかもしれませんが、小さな菊型の焼き菓子は見覚えありませんか?そう。いわゆる「マドレーヌ」です。よく製菓コーナーに行くと、薄いグラシンペーパーで菊型になったものに「マドレーヌ」と印刷されていたりしますよね。
  本来マドレーヌとは貝の形に焼いた、少しレモンなどの柑橘を効かせた焼き菓子です(写真中)。どういういきさつでマドレーヌが日本でこの形で作られるようになったかはわかりませんが、菊型で焼くお菓子は「パン・ド・ジェンヌ」の方で、作り方や味もマドレーヌとはまったく違います。
  「パン・ド・ジェンヌ」似たお菓子で「パヴェ・ド・ヴニース」というお菓子があります。このお菓子もジェンヌと同様パードダマンドを使い、、焼けたら裏返しにし、アーモンドスライスが映えるように逆さにし、グラスロワイヤルで仕上げます(写真下)。「パヴェ」
とは、正方形のお菓子を意味するので本来は四角い型で焼くのが正しいのだと思いますが、これは丸いマンケ型で焼きました。このお菓子についてはこれ以上詳しいことがわかりません。
  「パヴェ・ド・ヴニース」は「パン・ド・ジェンヌ」よりみっしりしていて、アーモンドの風味をより感じることのできるお菓子です。私はヴニースの方が好きです。